「大人支援」教材の今
日本語学習支援に欠かせない物の一つにテキストは当たり前として、そこに載っている「絵」以外にも更に分かり易くしていくためのツールが必要です。コロナ下で対面で学習できない3年間でそれらのツールもかなり様変わりしました。しかし学習者の目と心を引き付けるのは……なんだと思いますか?
「大人日本語教室L1」2024年NO2
土曜日夜、働く外国人のための日本語学習教室 ボードより
4月から始まった大人日本語教室、「初めての人のためのクラス」は既に満席です。
この満席のクラスの先生も書きます、書いて書いて私から書いてる時間が勿体無いといわれるほどよく書きます。
次のクラスの先生は、機械派です。学習者がわからない物や教えたい事はほぼ画面で見せます。学習者達は分かり易いのでよく「ああ」と大きな声をだしてうなずいています。どちらが良いとか悪いとかの問題ではありません。今は一昔前の様に出来あいの市販されている絵を使うしか術がなかった時代とは全く違いますという内容です。
あの時代(いつ?(´∀`)) 日本語は言語に関係なく「直接方」で教えることに日本語の先生皆さんこだわりが強かったと思います。いくつもの例を必死で羅列して自分が深い闇に突き落とされたりしてね。だからあ~、例えば~、とやっているうちに訳が分からなくなるのだけれど、生徒の前でみっともない姿見せられないので、最初の頃は「来週勉強してもう一度説明します」といっていましたね。(私もです)しかしうやむやにしてるなと、自分で思う場面もありました。そんな時は冷や汗ものです。それでも学習者の母語で教えるのはタブーのような雰囲気がありました。ただ言い訳すると当方は昨年も14か国から学習者が勉強に来ていますから一カ国ぐらいの言語ができてもあまり役に立ちません。使えば差別になります。
そんな中で、2年前から英語を使って教えられるクラスができました、というかそうするしかなくなりました。前回の記事に書いたとおり、働くために来日したけれど日本語0、全員英語圏です。だったら彼らの母語を時折使用した方が理解が早いというわけです。
大人支援ではあまり学習者の母語を使用するのは良くないという流れで教室を運営してきたのですが3年間のコロナ下でのオンライン授業では豊富な例題も出せず、難しい言葉は最初から翻訳することで授業を何とか成り立たせる場面もありました。これが教える方も教わる方も思いのほか好感触だったというわけです。
しかし記載した写真のように先生の愛嬌たっぷりな、上手なのか下手なのか追及しませんが「文字」と「絵」は学習者には出来あいのきれいに整った教材道具より伝わるようです。皆さんが喜んでにこにこしながら先生が次は何を書くのかと、じっと見つめている構図はとても新鮮に映ります。